Vol.103 集中力ではなくやり方の問題

Vol.103 集中力ではなくやり方の問題



2019年05月14日投稿
2020年07月14日更新



「うちの子は本当に集中力がなくて・・・」という相談を良くいただきます。
たしかに、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向がみられる生徒というのもいますが、該当するのは20人に1人程度でしょうか。
その他の大半の生徒は集中力がないわけではなくて、単に勉強のやり方が悪いのです。

勉強に集中していない(ように見える)生徒の勉強の様子を観察していると、あることがわかります。「勉強している時間」ではなくて「勉強するまでの時間」が異様に長いのです。
机の上に筆記用具を出して、ノートを開いてテキストをパラパラとめくって・・
「まだか、まだか」と待っていると、何を思ったかスマホを取り出してそのまま10分、20分(笑)
このように勉強開始までに相当な時間がかかり、ようやく勉強をし始めたと思ったのも束の間、再び手が止まります。不意に何かを思い出したかのように、かばんに手を突っ込んだかと思うと、くしゃくしゃになったプリントが何枚も出てきます。今度は学校のプリントの仕分け作業が始まる・・
こんな調子で勉強が進み、机の前に1時間座っていても実質的な勉強時間は30分にも満たないといったようなことがよくあります。
このような様子を、親御さんの目から見ると、たしかに集中していないように見えます。
しかし、繰り返しになりますが、これは集中していないわけではありません。
集中できる状況を作り出すことができていないのです。
これは「やり方」の問題であり、集中力の有無とは問題を分けて考えることが大切です。

集中できる状況を作り出すための最大の難所は勉強開始前です。
ここを乗り越えるコツは、机の前に座ったらすぐに「手を動かす」。
これに成功すれば、その日の勉強は半ば成功したようなものです。
何事も始めることに最もエネルギーを使いますから。
始めてさえしまえば、「勢い」がつくのでその後は自然な流れで上手くいくことが多いものです。
次の難所が、勉強の境目。
英語の勉強から社会の勉強に切り替えるようなタイミングで脱線事故は起きます。
せっかくいい感じに高まった集中力も、一つの課題を終えて「次は何をしよう?」と手が止まってしまうとこの瞬間にゼロに戻ってしまいます。
これが非常にもったいない。
スタートダッシュでもたついてしまう、勉強の境目で集中力がリセットされてしまう・・
これらはすべてやることが明確でないときに起きる現象です。
つまり、最初にやるべきことは「やらなければならないこと」のリスト化です。
いわゆるToDoリスト。
会社にお勤めの方であれば、お馴染みの方法論ですよね。

集中力が本当にないのか、それとも集中できる状況を作り出すことに失敗しているのか。
もし後者であれば、その子に必要なのは適切な勉強のToDoリストです。


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